日本の企業が世界で存在感を失ってしまったのはかつて得意だった製造業のコモディティ化が進み、価格競争に巻き込まれ、IT・ネット系の高付加価値な産業への転換の遅れが主な原因と言われています。現状、GDPは中国に抜かれ世界の時価総額ランキングの上位はネット関連の米系企業が占めています。
どうすれば良いのか?
ゴールドマン・サックス、フェイスブックを経てビジネスSNSを立ち上げた起業家である著者、ヒントは「ミレニアム世代」と提言します。
「ミレニアム世代」はニュース等でもよく聞くキーワードです。仕事ではエンドユーザとして意識する場面もありますし、直接話をして特徴や世代間ギャップを感じたりする中で本書が書店で目に止まり手にしました。
消費者・労働者の中心世代となる彼・彼女らの価値観や行動原理を理解する事の重要性、そこに向けた事業や組織の構築、これからの働き方やその先にある日本未来について学ぶことができます。
まずは日本の立ち位置、実は誰もこの国に注目していない
もし日本が世界で注目されている!なんて思っていたらその考えは正さなかればならない。美味しい市場ではあるけれど商習慣が独自すぎて入りづらいなあ、なんて思われているぐらい
米・中に比べてスタートアップの規模が非常に小さく、そもそも起業家も少ないんですね。
クールジャパンなんて言葉も、もちろん一部の愛好家はいますがそれはどの世界も同じで、国内にいる自分達が思っている程誰も日本になんか注目していないそうな・・。観光客が多いのも円が安いというのが大きな理由でしょうなんでしょうね。
と、この文章書いている瞬間に
「国の成長戦略の一つ、日本文化の輸出を支援する官民ファンドのクールジャパン(CJ)機構が振るわない。」というニュースが流れてきました、リアル。
ミレニアル世代を語る上で重要なキーワード「トライブ」
近年は人種や国籍を越えて、共通の消費行動におけるトライブ化(共同体化)が起きている。例えばビーガン(菜食主義)とか、バルサのファンとか、フェアトレード推進とか、LGBTとか、エヴァ好きとか、そういうことだ。
トライブの定義は「共通のポリシーやライフスタイル、消費行動を持つ疑似共同体」とあります。
自分や身近な例だと、ランニングが趣味で糖質や炭水化物の摂取に気をつけている健康志向の人、ネットを中心とした情報発信で生計を立て従来の働き方に疑問を投げかけるノマドワーカーなどでしょうか。後者はミレニアム世代が多いように思います。
トライブの輪郭を示すのはストーリー、多民族国家アメリカはストーリーを作る能力が磨かれていったのですね。
「消費トライブ」の好例、アップル(Apple)
分かりやすく言うと、アップルはストーリーを売って、「消費トライブ」をつくり、そこにいる消費者はアップルの売るものならなんでも信用して買う仕組みだ。
アップル信者なんて言葉もありますしね。日本の企業がスペックや価格競争している間にアップルはシンプルでいいデザイン、各製品が横串でつながり、類似品には目もくれずアップル一択となる世界を作りましたね。
今後のビジネス展開する上でミレニアル世代の消費行動の理解が大事
ミレニアル世代の消費行動は「トライブ」と強く結びついている。トライブとはストーリーであり、美学であり、ビジョンやバリューであるとも言い換えられる。
ウェブを中心としたビジネスのお手伝いをする中で強く感じている部分です。クライアントのターゲットはミレニアル世代の場合に限らず情報過多・消費過多の今の時代にストーリーがないと差別化が困難です。先進的な製品・サービスでなくてもこれを意識することは重要です。昔から言われる企業理念などがここ最近あらためて注目されるのも関係あるでしょう。消費行動だけではなく雇用の立場からも同じことが言えますね。
さいごに
やはり最終的に人にとっての幸せは「自分の所属するトライブへの貢献」だと言える。自分が人を「支えている」という実感を得られる事だ。
ミレニアル世代」は決してマーケティング上の小さなセグメントでなく、時代を象徴するものだ思います。ネットがここまで行き渡り消費行動だけでなく多くの人が従来の働き方や生き方にまで疑問を投げかける変革時期にあります。
僕自身も地方では珍しいリモートワークの会社を経営していますが、今の時代へのフィットしやすさ感じています。
今後、クライアント・エンドユーザー・ビジネスパートナー・従業員に至るまで価値観の変化を捉え、柔軟な生き方をし、もちろん自分のトライブの人とつながり、貢献していきたいです。